NHKにも、ジャーナリスト魂?
上記のリンクは、NHKの「戦争をどう裁くか」(2001年1月放送)の担当デスク(チーフ・ディレクター)が、同番組について、政治圧力による内容変更があったとして、NHKに内部告発し、今日13日に都内で記者会見を開いた、という話。
この番組については、制作会社2社が、取材先である民間団体、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(バウネット)から、「事前説明と異なる内容に変更された」として東京地裁に提訴されており、2004年3月に、制作会社2社に賠償を命じた判決が出たとのこと。
従って、何らかの理由で、取材先への事前説明の趣旨とは異なる、放送内容改変があったことまでは、事実と考えてよさそうだ。
会見時の内容に基づくと思われる上記の記事では:
中川昭一衆院議員、安倍晋三官房副長官(当時)らが放送直前に同局で国会担当をする総合企画室の担当局長らを呼び出し、番組の放送中止を要請。これを受け、当時の松尾武放送総局長の指示で、「女性国際戦犯法廷」が日本国と昭和天皇に責任がある、とした部分をカットするなど変更した。さらにその後、中国人被害者の証言などもカットするよう制作現場に指示があり、通常44分の番組が40分に短縮されて放送された。とされている。
NHKが本件をどう裁くのか、今後注視していく必要があるだろうけれど、少なくとも、本件を表に出した担当デスクの勇気というか、ジャーナリスト魂は、認められてもいいいのではないだろうか?(もちろん、内部にどんな事情があったのかは分からないけれど)
追記:
<NHK政治介入>「政治圧力受け番組変更せず」 NHK
<NHK「圧力」>海老沢会長の早期退陣訴える 長井暁氏
上のリンクは、NHKの関根昭義放送総局長が発表した見解の話。NHK幹部が中川昭一経済産業相と安倍晋三自民党幹事長代理と面会したことを認めたけれど、面会は呼ばれたものではなく、予算説明に合わせて番組の趣旨や狙いを説明した、という見解らしい。
下のリンクは、上記の担当デスク・長井暁チーフプロデューサーが開いた記者会見の取材記事。長井氏は、今回の公表以前に、NHK社内での問題提起をしていたようだけれど、上層部から満足のいく対応が得られなかったらしい。
少なくとも、現時点でいえることは、NHKが本件について、十分に適切な内部管理を行っていなかったということではないか。
仮に、長井氏の会見での公表内容に、事実でない部分が含まれているとしても、現場の実力あるジャーナリストが、強い疑問を持たざるを得ない状況があって問題提起をしていたのならば、NHKとしては、彼の問題提起に対して十分な調査や説明を行って、事実内容について、その時点で彼の納得を得る必要があったはずだ。
NHKは、ジャーナリストが十全な活動をすることで成立する報道機関であるはず。その点を軽視して、優秀なジャーナリストに今回のような行動を採らせてしまった時点で、NHKの管理態勢に不十分なものがあったと考えざるをえないのではないだろうか?
追記2:
<NHK特番>小泉首相、介入を否定しながら報道側に注文
12日に小泉首相が本件について発表した内容。安倍氏が番組放送前に「偏った内容」などとNHKに申し入れたことを認めた上で、『一方に偏らないで公正な報道を心がけていただきたい』と報道機関に注文をつけたという話だけれど、これはちょっと気になる。
一方に偏らない報道は、当然必要なことだけれど、それは或る報道を中和するのではなく、違った方向・意見の報道がそれぞれに為されることで、実現されるべきだろうから、本件の話にどんなふうに当てはまるのか、微妙な気がする。
今回のような件であれば、NHKの番組とは別に、自民党としての見解をまとめて、公表すれば良かったはず。そうした機会を得るのが、自民党にとって困難だったとは思えない。そうした形であれば、自民党の見解に賛成する人もいたはずだ。
本件の特集番組の取材先である、市民団体「VAWW―NETジャパン」が、12日、NHK等に抗議声明を発表したという話。
会見では、『東京高裁から17日に予定されていた控訴審の結審の延期も検討しているとの連絡を受けた』という話も出たらしい。延期検討が事実とすれば、東京高裁は、長井氏の会見について、検討すべき新たな事実と捉えたのかもしれない。


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